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053. 6桁ニキシー管時計

[ 初公開日:2014年6月16日 ]

 以下に紹介する "6桁ニキシー管時計" は、2006年〜2007年頃に製作をしていた作品ですが、結果として "失敗作" です。 失敗作をネット上に公開することは、自分自身すごくためらわれましたが、その "改良版" をこの度 作製しましたので敢えて、その作製過程の一部としてここに取り上げ、 公開することにしました。

 そして、この "失敗作" については、既に貴重なニキシー管等、主要部品を "改良版" の方へ転用しましたので、今となってはその残骸が残るのみで、まともな形では存在していません。

 失敗の一番の要因は、下の写真ではニキシー管の光り具合がよく分からないかもしれないですが、実際には光り方がかなり弱く、その原因が私が行なった DC-DCコンバーターのパターン設計にあり、 高い電圧が発生してくれないのです。

 原因も分かっているのでそれを直せば良さそうなものなんですが、何か気が抜けてしまって、また次のような理由もあって、結果的に現在までずっと放置をしてありました。
  • まず第一には、自分で作ったものに相違はないのですが、全体的な外観のデザインが気に入らなくて、このまま続行していく気力がなくなってしまった。
  • 表示部において適当なサイズのプリント基板がなかったとは言え、2枚の基板を繋ぐのにL型のアルミアングルを使用したのは見た目が野暮ったい。
  • この頃、製作意欲にすごく燃えていて、どんどんといろいろなものを作りたく、いつまでも未完成品に付き合っていられなかった。
等々、いろいろあったのですが、この度ようやく重い腰を上げ、ハード的にもまったく新規で再挑戦する気になりました。 ( 2014/06/16 追加 )


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 この作品は、ニキシー管とPICとを組み合わせた、"ニキシー管時計" です。 昔々、数字表示器が7セグLEDに取って代わった頃、秋葉原の "亜土電子" の店先で投げ売り? (@100円) していたものを、目的もないまま 10本程まとめて購入し、 ずいぶん長い間、部品箱でそのまま眠っていたニキシー管です。

 最近、ネット上では "ニキシー管時計" が静かなブームとなって騒がせていますので、私も挑戦してみることにしました。


 時計部は、サイト "RUU's Home Page" で紹介されていた "6桁ニキシー管クロックの作成" を、 電源部は、サイト "マイナビニュース - パソコン … 愉しみを数ボルト" (現在リンク切れ) で紹介されていた "DC-DCコンバーター回路図" を参考にしました。

■ 回路図 ■

| 回路図 (NixieTubeClock.CE3) | ページトップ |

■ ケース内部の様子 ■

 2枚のユニバーサル基板をタカチのアルミケース "YM-150" (W150 x H40 x D100) に詰め込んだが、以下の写真のようにいっぱいいっぱいで、面的にはまったく余裕がなくなってしまった。

ディスプレイ部 (上カバー) をはずしたところ 真上から見たところ

前斜め上から見たところ 後斜め上から見たところ (右下:温度センサプロテクタ)

左斜め上から見たところ 右斜め上から見たところ

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■ 表示部の様子 ■

 以下はニキシー管表示部ですが、写真の写りが悪くぼやけてしまいました。 ( 2014/06/16 追加 )

正面から見たところ 背面から見たところ

正面斜め上から見たところ 背面斜め上から見たところ

真上から見たところ 裏面から見たところ

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■ 機能と使用法 ■

  • まず電源を投入すると、0.5秒間ずつ0から9まで順次更新しながら、ニキシー全管(6本)の 0〜9表示テストを計5秒間行う。

  • 時計表示は24時間表示で、他に年月日の表示と気温の表示の機能を持っている。

       時間表示     xx : xx : xx
       年月日表示   xx .xx .xx
       気温表示        xx .x 

  • 上記3つの表示は MODE スイッチを押下することで切り替わるが、電源の投入直後は0〜9の 表示テストを済ませ、時間表示になっている。 その後、MODE スイッチの押下ごとに、時間表示、 年月日表示、気温表示に加えてオートモードの順に4つのモードを繰り返す。

  • オートモードでは、時間表示中に以下の振る舞いを行う。

       毎10〜15秒と40〜45秒の間: 年月日表示
       毎20〜25秒と50〜55秒の間: 気温表示

  • 年月日、時分の設定は、上記4つのどのモード時でも可能で、電源の投入直後は 07年01月01日、 0時00分00秒からスタートするので、SET スイッチと UP または DOWN スイッチによって適宜 行う。

  • SET スイッチは、押下するごとに年、月、日、時、分と次項目に移動するので、該当の項目を 選択後 UP または DOWN スイッチによって値を設定する。 最後の分設定後にもう一度 SET スイッチを押下すると、00秒からの時計動作がスタートし、必ず時間表示モードに戻る。

  • DOWN/ZERO スイッチは、年月日、時分の設定中は上記のように DOWN スイッチとして機能するが、 それ以外では毎正時プラス・マイナス5分以内に押されると 00分00秒に設定するための ZERO スイッチとして機能する。

  • 年月日カレンダー機能について、うるう年の計算は 2001年〜2399年までの範囲で対応している。 ただし、年の表示は下2桁のみになる。

  • その他の機能として、周囲の明るさに応じてニキシー管の表示を減光するディマー機能を持ち、 周囲が明るいときはニキシー管の表示も明るく、周囲が暗くなると暗く表示される。

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■ プログラム ■

 オリジナルでは、HEXファイルのみでソースの公開がないため、プログラムの修正変更がいっさいできない。 そこで、フリーソフトウエアの "帝" で逆アセンブルをしてソースファイルを作成し、それを参考にさせていただきました。

バージョン: Ver. 1.20     ( ただし、開発途中で未完成です。)

■ プリント基板(1)パターン図 (部品面) ■

ユニバーサル基板では手ごろなサイズのものがなく、いろいろ考えた結果、秋月電子の片面ガラスエポキシ・ ユニバーサル基板 Cタイプ
(72 x 47 mm)[AE-3] を2枚使用し、それらを下図のように L型アルミアングルで接続して必要サイズとした

| プリント基板(1)パターン図 (部品面) (NixieTubeClockDspPC.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) ■

| プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) (NixieTubeClockDspPC1.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(2)パターン図 (部品面) ■

下部中央に位置する 16P DIP IC は、ニキシー管ドライバ用TTL"SN74141N" 相当のロシア製TTL "К155ИД1 (K155ID1)"

| プリント基板(2)パターン図 (部品面) (NixieTubeClockCtlPC.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(2)パターン図 (ハンダ面) ■

| プリント基板(2)パターン図 (ハンダ面) (NixieTubeClockCtlPC1.CE3) | ページトップ |


■ プリント基板(3)パターン図 (部品面) ■

 そもそも "ニキシー管時計" としての失敗の原因は、このプリント基板(3)にありました。 MC34063A を使用したDC−DCコンバータ回路の出力が、 170V(希望)を出てくれないのです(負荷接続時でMAX約130V程度)。 そしてその原因がこの基板のパターンにあったのです。

 たいして何も深く考えもせずに、ブレッドボード上で少しばかり試しただけで、この基板上に組み込んでしまいました。 部品の配置のまずさが原因とは、思いもよらないものでした。 (したがって、ここで公開しているパターン図は、悪い例の見本です。)

 それを指摘し教えてくれたのが、"O-Family" さんでした。 私がDC−DCコンバータ回路の 出力で悩んでいた頃、彼とはひょんなことからネット上で知り合い、メールのやり取りで懇切丁寧に教えてくださいました。 その節はたいへんお世話になり、本当にありがとうございました。 "高電圧DC-DCコンバータ回路" の詳細については、現在、彼のホームページ上で 公開されています。 ( 2014/06/16 追加 )

上部中央に位置する大きなサブプリント基板は、秋月電子で扱っていたスイッチングACアダプタ (BSW0090 (CHINA)
12V 700mA @200)のケースを外して中身を取り出したものを使用

| プリント基板(3)パターン図 (部品面) (NixieTubeClockPwrPC.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(3)パターン図 (ハンダ面) ■

| プリント基板(3)パターン図 (ハンダ面) (NixieTubeClockPwrPC1.CE3) | ページトップ |


■ プリント基板(4) ■

右端はディマー機能動作のためのCDSセル(CL703L)、
ジャンクを流用のためメーカー、詳細な定格等は不明

左から SW2: UPスイッチ、SW3: SETスイッチ、SW1: DOWN/ZEROスイッチ

■ プリント基板(5) ■

SW4: MODEスイッチ

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■ ケース加工図 ■

 使用したケースは、"タカチ" の "YM-150" アルミケースです。

| ケース加工図 (NixieTubeClockCS.CE3) | ページトップ |

■ 使用部品表 ■

(主要部品: IC, トランジスタ等)

(データシート)
PICマイコン .................... PIC16F876
オペアンプ .................... LMC662CN
高精度IC温度センサ .................... LM35DZ
DC-DC コンバータ .................... MC34063A
三端子レギュレータ .................... μPC78N05
トランジスタ .................... 2SA1015
トランジスタ .................... 2SC1815
トランジスタ .................... 2SC2551
高耐圧 MOS FET トランジスタ .................... IRF820
ダイオード .................... 1N4007
ダイオード .................... 1S1588
超高精度クリスタルモジュール .................... KTXO-18S
フォトカプラ .................... TLP627-2
TTL ニキシー管ドライバ .................... SN74141
ニキシー管 .................... CD81

| 部品表 | Excel ファイル (NixieTubeClock_parts.xls) | ページトップ |

■ 参考サイト ■

6桁ニキシー管クロックの作成 .......... http://www.mars.dti.ne.jp/~ogura/e_hobby/nixie_clock.html
【コラム】愉しみを数ボルト .......... http://news.mynavi.jp/series/volt/002/ (現在リンク切れ)

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初版:2006年12月14日、初公開:2014年6月16日、最終更新:2023年10月30日