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198. MP3プレーヤー I

[ 初公開日:2022年12月22日 ]

 今回は、通称 "MP3 デコーダモジュール" と呼ばれている、中華製モジュールを使用した MP3 プレーヤーの製作です。 このモジュールを使用するにあたって、ケースへの取り付け方の簡単な方法を説明します。 また、操作スイッチボタンの操作性の改善や、モジュールから出力される再生音の音質改善など、それらの具体的な方法を詳細に解説します。

 今回の電子工作も前回(197. 18650 リチウムイオン電池充電器)のように、PIC を使用しないためプログラミングも不要で、しかも、アマゾンなどのネット通販で安価に入手することができる中華製モジュールを使用した、 コストパフォーマンスが良くて誰にでも比較的簡単にできる製作になっています。
18650 リチウムイオン電池について ( 2023/1/8 追記 )

 本機では電源に 18650 リチウムイオン電池を使用していますが、私自身、この電池を使用するのは初めてなので、1度の充電でどのくらい(何時間、または何日間)本機で使用し続けることができるか? を検証してみました。

 アマゾン等を覗いてみても、容量の大きさの違いなど様々なものが見られ、また、ノートパソコンなどで不要(不良)になった電池パックを、ばらして取り出した生セルタイプの電池の再利用など、いろいろな種類の電池の使用が考えられますが、私が所有(数少ないですが)している電池で 実際に検証をしてみた結果の報告で、皆さんの参考になればと思います。

■ ケース外観と内部の様子 ■

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■ MP3 デコーダモジュール ■

 本機 "MP3 プレーヤー I" の製作で使用したモジュールは、通称 "MP3 デコーダモジュール" と呼ばれている(らしい)、次の写真のような中華製のモジュールで、私が購入したのは 2020 年 12 月頃ですが、アマゾンのある中華ショップで 3 個セットが 430 円(配送料無料)でした。 1個当たり約 144 円で入手したのですが、それから2年ほどが経って円安の影響もあってか、現在では価格がかなり上昇していますが、それでも安いショップでは2倍弱ほどの 300 円以内で入手ができます。

 このモジュール1つだけで、MP3 プレーヤーとしての機能はほとんど備えていて、あとは電源を接続するだけで MP3 の音楽を楽しむことができます。(もちろん、MP3 データの入った USB メモリ、または micro SD メモリカード、および外部接続のためのヘッドフォン(イヤフォン)、 またはスピーカーを用意することは言うまでもありませんが ・・・)


 しかし、いろいろな中華製モジュールの多くに言えることですが、このモジュールも同様で、極限ともいえるような小さなプリント基板の中にすべてが凝縮されているので、いろいろな意味での使い勝手は非常に悪い ― と思います。 特に、後述するケースへの収納性の悪さ(最悪)、操作ボタンの現実的な操作性の悪さ(不便)、などが挙げられます。

 そこで、以降に述べるようにこのモジュールに対して、私なりにいろいろと改造を試みました。

● モジュールの各部の機能説明

 その前に、次の写真にしたがってこのモジュールの各部の機能を、先に簡単に説明をして行きます。

 まず、写真の下側に位置する Micro USB コネクタ、または 電源入力接続端子:+ー 間に、3.7 〜 5.5 V の電圧を加えるのですが、私は携帯用途目的の MP3 プレーヤーとして使用するため、Micro USB コネクタからの電源供給ではなく、電源入力接続端子:+ー 間に、 電池ホルダーを介して 18650 リチウムイオン電池を接続して使用することにしました。

 写真の右側に位置する ヘッドフォンジャック、または スピーカー接続端子 には音声が出力されますが、両者を同時に接続した場合には、ジャック内部の機械接点によってヘッドフォンジャック側が優先されます。 また、ヘッドフォンジャック側にはステレオ信号が出力されますが、スピーカー接続端子側では、アンプ(接続端子の左横の 8 ピンの IC)と接続端子が、1組しか搭載されていないのでモノラル信号の出力(左チャンネルのみ)です。 ただし、スピーカー出力は、今回は私の目的外のため接続端子は使用しません。

 写真の左側に位置する USB メモリ、または micro SD メモリカード の各コネクタが、MP3 データファイルが格納された各メディアを再生するための入り口となります。 両者のメディアが同時に挿入されている場合は、電源を投入時には micro SD メモリカードの方が優先されますが、 次に述べるように P/P/Mode ボタンの操作でいつでも変更ができます。

 次に、4つの各スイッチボタンの操作機能について説明をしますが、次のように押し方としては、短く押す:スイッチをチョンと短い通常の押し方、長押し:1秒程度以上の長い押し方、の2種類の使い分けをします。

 Prev/V-- ボタン は、短く押すごとに再生する曲を1曲ずつ前曲に戻して切り替え、長押しすると押している間は最小になるまで音量をダウンします。

 Next/V++ ボタン は、短く押すごとに再生する曲を1曲ずつ次曲に進めて切り替え、長押しすると押している間は最大になるまで音量をアップします。

 P/P/Mode ボタン は、短く押すごとに 一時停止 / 再生 を切り替え、また、長押しするごとに USB メモリ / micro SD メモリカードの、再生するメディアを切り替えます。

 Repeat ボタン は、短く押すごとに 単曲 / 全曲 の繰り返し再生を切り替えます。 またこのとき、単曲の繰り返し時には再生インジケータ LED(赤)が早く点滅し、全曲の繰り返し時には遅く点滅します。(このボタンの長押し機能はなし)


● モジュール基板のケースへの取り付け方法(改造-1)

 上述したように、私はこのモジュールを携帯用途目的の MP3 プレーヤーとして使用するため、モジュールをそのままの裸で使用することはできません。 何らかのケース内に収納する必要があるのですが、このモジュールのプリント基板には、そのための考慮が一切ありません。 上の写真を見れば分かるように、ケース内に収納するための取り付け用の穴などの考慮は一切ないのです。 モジュールの利用者として、その点では最悪のモジュールと言わざるを得ません。

 そのために、モジュール基板上に新たな穴を開けられそうな面的場所を探してみても、既に極限に近い小さなプリント基板の中には、そのような場所の余裕など作られてはいないのです。 どうすれば良いのか? 散々悩んだ結果、次の写真のように木片を使用するアイデアが浮かびました。

 使用した木片は 5 x 5 x 900 mm ひのき材で、35 mm 長を 2 本切り出して(細いのでカッターナイフで加工しました)モジュール基板の裏面に、2液混合型のエポキシ樹脂系接着剤をたっぷり塗って、写真のように貼り付けました。 ひのき材はかなり以前に東急ハンズで購入したものなので、現在の価格とは異なっていると思います。

 実際のケースへの取り付け位置などは ケースへの組み込み の項で示していますが、2 本の木片には貼り付ける前にそれぞれ 2 か所ずつ、下写真のように Φ 1.5 程度の穴を開けておくと、木ねじを使用したときに木片が割れにくくなります。 木ねじ(ナベタッピング)は M2 x 6 ですが、少々長いので 4.5 〜 5 mm 長にカットしたものを使用しました。


● 各スイッチボタンの操作性の改善と電源スイッチ(改造-2)

 このモジュールを使用する上で(私的に)次に挙げられる問題点は、4つの各スイッチボタンの操作性がすこぶる悪い、ということです。 あまりにも小さなモジュール基板上に 4つのタクトスイッチを田の字状に配置していることと、本機使用ではモジュール自体をケース内に収納してしまうため、 ケースの上蓋を開けないと操作ができません。

 また、上述したように電源供給に本機では Micro USB コネクタを使用していません。 USB コネクタを使用した場合には、コネクタを抜いてしまえば電源の供給は断たれるため、敢えて電源スイッチなどは不要でしょうが、本機の場合には電源入力接続端子に直接はんだ付けをして使用するために、 電源スイッチは必須となります。

 そこで、4つの各スイッチボタンの操作性を改善する(新たなタクトスイッチをモジュール基板上のタクトスイッチと 並列に配線 して使用)目的と、電源スイッチを新設する目的のために、次に示すようなスイッチ類を搭載したプリント基板を作製して、 ケースへの組み込み の項で示すように、ケース上蓋の上面から操作ができるように設置をしました。 なお、本機で使用したタクトスイッチは、トップ長(高さ)が通常のものより少々長く、実測 9.5 mm のものを使用しました。




● 本モジュールの音質の改善方法(改造-3)

 アマゾンで "MP3 デコーダモジュール" のレビューを見ていると、音質の改善をするために、電解コンデンサを交換した経験談などを紹介している例をよく見かけます。 そこで、私もそれら先輩方の例を見習って同様に交換をしてみようと思い立ちました。

 ところが、レビューで紹介されているオリジナル?モジュールと私が購入したモジュールとでは、モジュール基板上に配置されている CR を始めとして、様々なすべてのパーツ類の見かけ上の配置はほとんど一緒で変わらないのですが、基板上にシルク印刷されている CR 類の名称が、 同位置の CR でも異なっていることに気が付きました。 そこで、モジュール基板の銅箔のパターンに注目して見てみると、両者ではまったく異なっていることも分かりました。 両モジュールは見かけ上はそっくりで同じようですが、実は別物 * でした。

* オリジナル?モジュールでは、モジュールの要となる 16 ピンの制御用 IC に "GPD2856A" を使用している?らしいのですが、私が購入したモジュールでは、16 ピン IC を拡大してみると "JL"(ロゴマーク?)と "AB20CLCV0R.1-82" という文字列が見られます。 しかし、ネットで検索をしてみても後者のデータシートを見つけることはできませんでした。(下の中央の写真を参照)

 オリジナル?モジュールのレビューでは C7 と C8、および C1 のコンデンサを、100 μF 程度の電解コンデンサに交換するように紹介されています。 そこで、これらのコンデンサに該当する同目的のコンデンサを、私が購入したモジュール上で探し出さなければなりませんが、 両モジュールとも回路図を入手できなかったので大変でした。

 その結果、オリジナル?モジュールの C8 と C7 は、制御用 IC からの音声信号をヘッドフォンジャックに接続するための、それぞれが左チャンネル、右チャンネルの カップリングコンデンサ で、私が購入したモジュールでは C3 と C5 がそれに該当し、 また、オリジナル?の C1 コンデンサは、電源電圧を 3.3 V に変換出力後の デカップリングコンデンサ で、私が購入したモジュールでも同名の C1 が該当していました。(左下の写真は小さいので、クリックして拡大をして見てください。)

(コンデンサの比較) 左-CH カップリング 右-CH カップリング 電源 デカップリング
C 名称 IC ピン C 名称 IC ピン C 名称 IC ピン
オリジナル?モジュール C8 4 C7 6 C1 1
私が購入したモジュール C3 9 C5 10 C1 11
カップリングコンデンサとは、交流と直流の混ざり合った信号から交流のみを取り出すためのコンデンサ。
また、デカップリングコンデンサとは、逆に、同信号から直流のみを取り出すためのコンデンサ。

 結局のところ、両モジュールでは使用している制御用 IC が異なっていて足ピンの互換性がないにも拘らず、私が購入したモジュールでは、基板上のすべてのパーツ類の見かけ上の配置をオリジナル?モジュールと同様に保つために、 かなり強引とも思えるような基板のパターン変更で、それらの互換性も確保しているように思えました。

 それに対して、オリジナル?モジュールと思われる右下の写真 * を拡大してみる限り、すべてのパーツ類の配置と基板パターンが素直で自然に見えます。
* 右端のオリジナル?モジュールと思われる写真は、私が購入したアマゾンの中華ショップとは、異なる中華ショップの商品説明で使用されていたものを、無断で借用しました。)

 これは私見ですが、やはりオリジナル?モジュールがオリジナル品で、私が購入したモジュールの方がパチモンであろう、と推測されます。 ただし、オリジナル?モジュールは手元にないので、機能を比較して試すこともできなく確かなことは言えませんが、 私が購入したモジュールでも MP3 デコーダとしての機能は同等で、決して悪くないように思われます。

私が購入したモジュールのはんだ付けポイント 制御用 IC "AB20CLCV0R.1-82" オリジナル?モジュール

 レビューで紹介されている例では、電解コンデンサをモジュール基板上の狭いところに直接はんだ付けをするような、不安定な空中配線が多いように見受けられましたが、私は改造のための小プリント基板を用意して、その基板上に交換する電解コンデンサをはんだ付けで固定し、 そして、両基板間をフラットケーブル(ビニール線で可)で配線するようにしました。

 このとき、モジュール基板側のはんだ付けポイントは、上述の3つのコンデンサ側(左上写真の赤色・印が IC ピン接続側)にではなく、それらが接続されている制御用 IC のピン側にしました。 理由は、3つのコンデンサは表面実装の小さなチップコンデンサのため、 はんだこて先を長めに当てていると簡単に基板から剥がれてしまう(本改造では不要になるので剥がれても構わないのですが)ためで、それを防ぎたいと思ったからです。

 そして、左上写真の赤色 → 印で示す制御用 IC の 9、10、11 ピンの3か所が、新たに設けた小プリント基板側の 3つの各電解コンデンサの+側に接続されるように配線をします。 また、赤色 ← 印で示す 8 ピンの GND も小プリント基板側の GND に配線をします。 なお、私が使用した電解コンデンサ(下写真を参照)は、表面実装用の 100 μF 16 V のチップ電解コンデンサですが、背が低くて手持ちにあったので足を下へ延ばして使用しました。 もちろん、背の高さを考慮して実装すれば通常の電解コンデンサで可能です。

 また、小プリント基板を設けたのには他にも理由があります。 次の写真はモジュール基板等をケース内に収納したものですが、このような配置に収納(USB メモリ、micro SD メモリカードの各コネクタの位置を優先)すると、モジュール基板上のヘッドフォンジャックは 使用することができなくなります。 そこで、小プリント基板上に新たなヘッドフォンジャックを写真のように取り付けて代わりをさせました。


 次に示すのは小プリント基板のパターン図と写真ですが、もう1つ役目を担っています。 上述したように、本機では電源に 18650 リチウムイオン電池を使用しますが、何かが原因してもしも負荷側で短絡等の事故があった場合に、保護回路付きの電池を使用していれば、 その保護回路が機能して電流を遮断してくれると思いますが、保護回路が内蔵されていない生セルタイプを使用していると大変なことになります。 そのためにリセッタブル・ヒューズを電源に挿入できるように、この小プリント基板に載せておきました。


 結論として、以上の解説では私が購入したパチモンのモジュールの場合の改造の仕方になっていますが、オリジナル?モジュールの場合の改造はどのようにするのか? 要領は同様で上に示した (コンデンサの比較) 表のように、 コンデンサ名と IC ピンを読み替えて、オリジナル?モジュールのはんだ付けポイントに変更をすれば良いのです。

 それでは、入手したモジュールがオリジナルなのか、パチモンなのかを、どのようにして見分けるか? ですが、次の写真のように、16 ピンの制御用 IC の周りに注目をして、コンデンサ名が右写真のように印字され、かつ、そのコンデンサと IC ピンの接続の銅箔パターンが 右写真のようであれば、おそらくオリジナルモジュールと考えて良いと思います。

 それ以外の場合には、残念ながら外れでパチモンモジュールの可能性が大きいと思います。 パチモンの種類がどれほど出回っているのか分かりませんが、左写真のようであれば私が購入したモジュールと同じですから、この項で説明した通りの方法で改造を行ってください。 もしも、下写真のどちらにも該当しない場合には残念ですが、オリジナルモジュールの C7 と C8、および C1 のコンデンサが、入手したモジュール上のどのコンデンサ(と IC ピン)に該当しているかを、私が行ったように、ご自分で調べてみるしか方法はありません。

私が購入したモジュール オリジナル?モジュール

| プリント基板パターン図 (スイッチ基板) (MP3_Player_sw.CE3) | プリント基板パターン図 (コンデンサ基板) (MP3_Player_cc.CE3) |

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■ ケースへの組み込み ■

 本機 "MP3 プレーヤー I" のケースには、次の写真のようなポリプロピレンケース(たぶん)を使用しました。 このケースは私がアマゾンの中華ショップで、何かのパーツを購入したときに、左写真のようにパーツの保護用に入れて送られてきたケースです。 ケースとしては板厚が少々薄いようにも思われましたが、全体サイズが丁度良さそうだったので本プレーヤーのケースとして使用してみました。


 皆さんがこのページで紹介している本機と同様な MP3 プレーヤー を製作したいと思っても、上の写真のようなポリプロピレンケースは、おそらく日本国内で市販されているわけではないので、その入手も困難であろうと想像されます。 したがって、縦、横、高さの各サイズ(実測 64 x 89 x 28 mm 程度)がなるべく同等のケースを、100 均などで探し出してみてください。 このときに、高さについては後述しているように 2 〜 3 mm 程度大きい方がよりベターです。

 次に示すケースの加工図が、本機で使用するモジュール基板、追加した小プリント基板、スイッチ基板、電池ホルダーを収納するための加工図です。 図中には各部の寸法が書き入れてありますが、図面通りに加工するのは手加工では中々難しいので、 あくまでも参考程度に見ながら、現物合わせで加工を行った方がうまく行くことが多いようです。

ケースの穴あけ加工後の様子


ケースの外側を見る


ケースの内側を見る


 左下の写真は、穴あけ加工の済んだケース内に、モジュール基板や追加した小プリント基板などを収納した直後のもので、真ん中の写真は、ヘッドフォンジャック、USB メモリ、micro SD メモリカードの各挿入口の様子を示した写真です。 (ヘッドフォンジャックとスイッチ類の穴加工は、少しばかり失敗をしてしまいました。)

 まず、モジュール基板の取り付けは、前項 MP3 デコーダモジュールモジュール基板のケースへの取り付け方法 のところで詳述したように、ケースの裏側から4本の木ねじ(ナベタッピング)を、 モジュール基板の裏面に張り付けた木片にねじ込めば、モジュール基板をがっちりと固定させることができます。

 電解コンデンサ、ヘッドフォンジャック等を搭載した 小プリント基板については、前項の 本モジュールの音質の改善方法 のところで詳述していますが、ケースへの取り付けには、上の ケース加工図 の(下面図)に記した下箱の4つの取り付け穴位置に、 M3 x 5 サイズの中空スペーサを介して、 M3 x 12 サイズのビスとナットで取り付けました。


ヘッドフォンジャックの様子

USB メモリ、micro SD メモリカード 挿入口の様子
各プリント基板等を収納した直後 配線をすべて済ませて完成の本機

 ケースの下箱については、あとの残りのスペースに 18650 リチウムイオン電池用のホルダーを取り付けます。 使用した電池ホルダーは、前回紹介した(197. 18650 リチウムイオン電池充電器)で使用したものと同型のもので、 次に写真を再掲しておきます。

 この 電池ホルダーをケースに取り付けるときに、少しばかり注意をする点があります。 右下の写真では少々分かりづらいですが、はんだ付けをするときの両電極ピンがまっすぐホルダーの下(裏面)方向に伸びているので、前回作の充電器のようにケース上面に取り付けるような場合には、 ケース内にピン先を貫通させるためにそのまま使用しましたが、本機のようにケース内にホルダーを収納する場合には、ピンがケース底面にぶつからないように加工をする必要があります。 私は 90 度横方向にピン先を曲げて使用しました。

 また、電池ホルダーのケースへの取り付けには、ケース下箱の裏側から入れた M3 x 8 サイズのビスと、ワッシャー、ナットを使用して固定をしました。 ビスの首部分が接触するケース下箱の裏面と、ナットが接触する電池ホルダーの上面には、M3 のワッシャーを当てましたが、 本機の場合にはビスの頭側とねじ先端側の使い方が、先の充電器の場合とは逆になります。 電池ホルダーの上面側に使用するワッシャーは、ホルダー上面とフィットするような形に、充電器の場合と 同様な加工 をする必要があります。

 そしてもう1つ注意をする点として、使用したビスは M3 x 8 サイズと上述しましたが、そのままの無加工では少し長過ぎるので少々のカット加工を要します。 ホルダー上面側に使用するナットの上面のツラよりも、ビスのねじ先端が出ないように先端を短くしなければなりません。 むしろ凹んでいる位の方が丁度良いと思います。 そうしないと電池をセットしたときのホルダー内が浅くなり、私の場合には 18650 リチウムイオン電池がうまく収まってくれず、両電極のばね圧力によって指を離すと電池が飛び出してしまいました。


 次に、ケース上箱には スイッチ基板を取り付け ます。 このスイッチ基板の取り付け位置は、私自身のデザイン的感覚と左手の指での操作性から、上で示したケース加工図や写真のように決めたのですが、 考慮が足らずに想定外のことがいくつか起こり、結果としてスイッチ基板の取り付け位置については(このケースを使用する限り)少々失敗でした。

 初めに取り付け位置が良くないと気付いた問題点は、ケースの上蓋を閉じたときに、スイッチ基板に取り付けた電源スイッチ、すなわち下に示した図の青色 ↓↓、または写真(秋月電子の商品カタログから無断で借用)のトグルスイッチの左の2端子が、 モジュール基板に搭載されている USB コネクタの上面と接触を起こしてしまう、ということでした。

 そこで、もともとこのスイッチ基板とケース上箱との間に、M3 x 10 サイズの中空スペーサを介してビスとナットで取り付けていたのですが、手持ちの関係で M3 x 9 サイズのオス+メス 六角スペーサに取り替えました。 本当はもっと短いものにしたいところですが、使用したトグルスイッチの高さ(四角い金属カバーの高さ)が 9 mm 長のため仕方がありません。 そしてなおかつ、トグルスイッチ側の接触を起こす2端子の先端を 1 mm 程カットして使用しました。

 これらの処置で、トグルスイッチの左の2端子と USB コネクタの上面との接触の件は一応回避はできたのですが、しかし、使用したケースの板厚が薄いため、ケース上面を少々強めに押さえたりするとケース上面が下へ湾曲して、やはり同様に接触を起こします。 これ以上、両者の間隔を広げることはできないので、USB コネクタの上面に絶縁のためにカプトンテープを貼り付けようと思ったのですが、現在、どこかへ行方不明中なので取り敢えずセロテープを貼って対処をしてあります。


 次に気付いた問題点は、スイッチ基板に取り付けたタクトスイッチのはんだ面と、電解コンデンサ等を搭載した小プリント基板の、部品面に取り付けた 4P のピンヘッダの先端間の間隔が狭過ぎるということでした。 もともと、4P のピンヘッダの相棒には 4P のピンソケットを使用して、コネクタ接続をする予定でいました。 仕方なくコネクタ接続は諦めて以降に述べるように、直接はんだ付けで接続をすることに変更をしました。 かつ、念のためにピンヘッダの長さも 2 mm 程短くなるようにカットして使用しました。

 これらの対応処置は、そもそも私が使用したケースの高さが 28 mm という制限から来たもので、もしも同じケースを入手できた場合には、上述したような2つの問題点を回避するような取り付け位置を検討するべきです。 また、同じケースを入手できなかった場合には、高さが 2 〜 3 mm 程度大きい他のケースを選択してください。

 なお、本機で改善のために使用したタクトスイッチは、トップ長(高さ)が通常のものより少々長い実測 9.5 mm のものですが、本機においては使用したケースの板厚が薄いことと、上述のように使用したスペーサを 9 mm 長にダウン変更したこともあって、 結果として、タクトスイッチのトップがケース上箱の上面から飛び出し過ぎになってしまいました。

 次の写真は、それぞれ前項と本項の少し上で既に示した写真を再掲したもので、左写真は改造するときのモジュール基板上のはんだ付けポイントを赤色矢印で表し、前項の 本モジュールの音質の改善方法 のところで詳述しています。 右写真はケース内に各プリント基板等を格納後、配線をすべて済ませて本機 "MP3 プレーヤー" としての完成後の写真です。



私が購入したモジュールのはんだ付けポイント
配線をすべて済ませて完成の本機

 私が配線を行った右写真の例では、すだれ状のフラットケーブルを使用していますが、1本ずつバラになった普通のビニール線で配線を行った方がやり易いと思います。 また、ケース内は狭いのではんだ付けがし辛いかもしれませんが、 そのようなときはビスナットを外して一旦、基板等をケース外に取り出してはんだ付けをした方が良い場合もあります。 特に電池ホルダーの両電極ピンの配線については、先に付け線を行ってからケース内に納めないとはんだ付けは不可能です。

 電源周りの配線については、赤線で電池ホルダーの +電極ピン → トグルスイッチ → モジュール基板の BAT+ 端子と、青線で電池ホルダーの −電極ピン → リセッタブル・ヒューズ(極性なし)→ モジュール基板の BAT− 端子と順に配線をします。 なお、これらの配線は、ケースの蓋を開けたときにブラブラして邪魔にならないように、各基板などよりも下位置になるようにケース内に納めると良いと思います。 配線の様子が写っている各写真を ケース外観と内部の様子 などで参考にして見てください。

 結局、本機では部分的にもコネクタ配線ができず、すべてがはんだ付けになってしまいました。 配線をはんだ付けで行うということは、電気的には確実性があって利点ともいえるのですが、逆に欠点でもあって保守性が悪くなります。 例えば、本機においてどれかの基板をケース外に取り出したいような場合に、ビスナットを外しても基板間が配線でつながっているために、うまく取り出しができず基板に対しての目的が達せられない、という事態も想定されます。 しかし、本機のように狭いケース内ではそれも仕方がない、とも思いますが ・・・

| ケース加工図 (MP3_Player_CS.CE3) | ページトップ |

■ 使用部品表 ■

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■ 18650 リチウムイオン電池について( 2023/1/8 追記)■

 本機の電源に使用する 18650 リチウムイオン電池について、私が実際に使用してみた2種類の電池についての検証過程を、ここに追記しておきます。

 私はこれまでの電子工作の電源に、18650 リチウムイオン電池を使用したことがない、ということを "197. 18650 リチウムイオン電池充電器" のページで触れたように、まったく使用経験はなかったのですが、 本機 "MP3 プレーヤー I" が完成後には電源として使用する目的のために、"MP3 デコーダモジュール" を購入したのと同時期の、2年ほど以前に既にアマゾンのある中華ショップで、6本セットが 999 円(配送料無料)で購入をしてありました。

 その電池が次に示す左下写真のもので、電流容量が 3200 mAh と書かれていて、当時、眉唾?物で購入をしてみたのですが、電流容量についての使用結果はやはり想像通りまったくの嘘っぱちでした。 右下写真の電池は、私の古い NEC ノートパソコン(Windows 7)に使用されていたもので、 生セルの電池6本が直並列にスポット溶接されていて、パソコンにセットしても充電がまったくできなくなってしまった電池パックを、1本ずつにばらして取り出したもの(電池の被覆表面に SANYO の刻印あり)です。

 この電池パックをばらした電池を手に持ってみると、1本ずつが実にずっしりとした重さを感じますが、それに比べてアマゾンの中華ショップで購入した電池では、そのような重さはまったく感じられず、ずいぶん軽いもので表現が悪いのですが何かスカスカな感じでした。


 これらの2種類の電池を実際に、本機 "MP3 プレーヤー I" の電源として使用してみたところ、両者には大きな違いが見られました。 まず、未使用ですが購入して約2年間が経った6本の電池では、初期電圧が、ほとんど 0 V に近い1本を除いて、残りの5本についてはすべて 3. 数 V 以上ありました。 これに対して、充電ができずに数年間(少なくても 4 〜 5 年以上)放置をしていた電池パックをばらした電池では、6本すべてが 0.0x V と完全に過放電をしているような状態でした。

 そこで、これらの電池のすべて(6 本 x 2 = 12 本)を、"197. 18650 リチウムイオン電池充電器" で充電(青色 LED が点灯するまでの満充電)後、数時間を経過すると、購入した電池では 4.06 V 前後、電池パックをばらした電池では 4.12 V 前後まで、 一旦、電圧降下がありますが、その後はどの電池もそれらに近いほぼ一定の電圧を保っています。

● micro SD メモリカード [32GB] での実験

 そして、そのような状態の電池を、実際に本機 "MP3 プレーヤー I" で使用をしてみました。 数千曲(約 2400 曲ほど)の MP3 音楽ファイルを収めた、micro SDHC カードを本機にセットして、少しの休みもなしのぶっ通しで、電池消耗で再生が止まる(再生インジケータ LED(赤)が消灯)までの、 時間を測定してみました。

 必ずしも同じ条件 * とは言い難いのですが、購入した電池(3本について実験)では、どれも約 29 時間と少々で再生が止まってしまい、そのときの終止電圧は、それぞれ 2.85 V、2.86 V、2.86 V でした。 これに対して、電池パックをばらした電池(2本について実験)では、どれも約 75 時間と少々で再生が止まり、終止電圧は 2.87 V、2.87 V でした。

* 再生曲や再生する音量の大きさによっても消費電流は変わるので、いずれの電池においてもなるべく同じ条件になるように、実験当初に音量をやや大きめに設定しただけで、あとは電池を交換しても Prev/V-- ボタン、Next/V++ ボタンを操作することがないように保ちました。

 これらの結果から単純に両者を比較してみると、電池パックをばらした電池の方が約 2.5 倍以上も長持ちすることが分かりました。 MP3 プレーヤーの使用方法として、通常はこの実験のように、少しの休みもなしのぶっ通しで、電池消耗で再生が止まるまで音楽を聴き続ける、 という使い方はしないと思いますが、少しでも長持ちする方が良いに決まっています。

 人それぞれによって MP3 プレーヤーの使い方は異なるとは思いますが、1度の充電で、少々長めの1日平均 5 〜 6 時間使用した場合に、私が購入した電池では 5 日間程度と短く、電池パックをばらした電池では何と、2 週間程度も使用することができる計算になります。 その点だけでも後者の電池の優秀さを実感しました。

 また、電池パックをばらした電池ではバッテリの保護回路が内蔵されていないため、実験当初には過放電の防止(約 2.4 V 程度)に対して少々心配でしたが、本機では過放電になる以前の 2.8x V 程度で再生が止まってしまうため、その後も電源スイッチを ON にし続けない限り、 過放電になるということもなく大丈夫そうです。

● USB メモリ [32GB] での実験

 上述の micro SD メモリカード [32GB] での実験とほぼ同様な条件で、USB メモリでも実験を行ってみました。 収録曲や曲数もまったく同じでメディアが異なっているだけです。 また、再生する音量の大きさも前実験を引き継いでいます。

 結果は、購入した電池(2本について実験)では、何と、どれも約 9 時間と少々で再生が止まってしまい、そのときの終止電圧は、それぞれ 2.89 V、2.91 V でした。 これに対して、電池パックをばらした電池(2本について実験)では、どれも約 23 時間と少々で再生が止まり、終止電圧は 2.90 V、2.89 V で、やはり後者の方が約 2.5 倍以上も長持ちでした。

 私が "MP3 デコーダモジュール" を購入した、アマゾンの中華ショップサイトでの商品説明には、USB メモリを使用する場合の電源には、推奨 5 V で 3.7 V 電源をサポートしていない、ということが書かれていましたが、これらの実験から分かるように 18650 リチウムイオン電池での再生も可能でした。

 ただし、この USB メモリの場合には消費電流が大きい * ので、私が購入した電池ではすぐにヘタってしまう、という印象です。

* この実験時の消費電流を実際に測定してみました。 上述もしたように、再生曲や再生する音量の大きさ、その時その時の瞬間によっても、消費電流は大きく変わるので一概には言えませんが、ある一瞬一瞬をとらえてみると、大体 MAX 80 数 mA 程度を消費していました。 これに対して、micro SD メモリカードでは半分以下の消費で、大体 MAX 40 数 mA 程度でした。

* * * * * * * * * *

 以上の実験によって、私が所有する2種類の電池の大体の傾向が分かったのですが、もしも皆さんが新たに 18650 リチウムイオン電池を購入する場合には、値段だけにつられて私のようにヘタレな電池を掴まされないように、レビューなどを参考にしてその製品やショップが信頼できるかどうかを、 十分に注意して購入をしてください。 できれば国産で信頼のおける製品を選択するのが良いと思います。

 また、私のように再利用ができそうな不要になった電池パックをお持ちの場合には、是非とも活用することをお勧めします。 ただし、単セル電池にばらすときには十分に注意をして、くれぐれもケガや短絡事故などを起こさないように、慎重に作業(危険も伴うので自己責任で)を行ってください。 (下記のリンクを参照)

 私は本機を携帯用途目的で使用する、ということを何度も書いているように、USB メモリの使用時にはメディアの構造上、本機外に飛び出す部分が多いため、ポケットなどに入れて使用する場合には一抹の不安があって、そのような使用には不向きです。 また、以上のように電池の持ちもあまり良くはないため、本機 "MP3 プレーヤー I" は、micro SD メモリカード専用の携帯機としてであれば、余程ヘタレな電池でない限り十分実用に供することができると思います。


 なお、以上の実験で私が使用した各メディアは、micro SD メモリカードには、IODATA の microSDHCカード BMS-32G4AA、USB メモリには、BUFFALO の USB メモリ RUF3-K32GB を使用したことを、最後になりましたが付け加えておきます。

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■ 参考資料・サイト ■

GPD2856A データシート .......... https://datasheetspdf.com/pdf-file/949394/Generalplus/GPD2856A/1
LTK8002D データシート .......... https://datasheetspdf.com/pdf-file/929025/LTKCHIPTECHNOLOGY/LTK8002D/1
YouTube / 倹約DIY / ノートパソコンのジャンクバッテリーから18650リチウムイオン電池を回収する ..... https://www.youtube.com/watch?v=RD5l8zOR9MU
Ren He 3個セット MP3 デコーダ モジュール アンプ ボード TFカード Uディスク 無損失 デコード プレーヤー 増幅器

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初版:2022年12月22日、初公開:2022年12月22日、最終更新:2023年10月23日