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061. 点字翻訳機
この作品を作る動機となったのは、秋月電子通商からマトリクスLEDを安価に購入したことと、サイト "杉原俊雄の情報
(旧: 杉原俊雄のホームページ)" で紹介されていた、"6点点字の電光掲示板--PICの入門にいかが?" を見て、6点点字に興味を持ったのがきっかけでした。
6点点字のパタンとその読みとの相互変換が、簡単にそして自由にできる翻訳機を作ってみよう ・・・ と思って作製したオリジナル作品です。
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この点字翻訳機は、プリント基板のサイズからくる制限で、PIC 制御および LED 表示のための基板と、各キースイッチを操作するためのキーボード基板の、
2枚から構成されています。
LED 表示というのは目の見えない人にとっては何の意味もありませんが、これは健常者が点字を覚えるときや翻訳したいときに使用する、
"点字" と "読み" との対応表示をさせることを目的にしたものです。
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ケースに収納 ( 2013/12 更新 )
本作品は長らく左上写真のような状態で使用、保管をしてきましたが、この度ようやくケースに収納しました。 最近になって、100円ショップで購入した "はがきケース (L-8821)
サナダ精工株式会社" ポリプロピレンケースをよく利用するようになったのですが、このケースが本作品を収納するのにもぴったりなことに今更ながら気が付き、さっそく
ケース収納に至った次第です。
下写真 ケース外観と内部の様子 や ケース加工図 に示すように、通常は外部電源の5V用スイッチングACアダプタ等を使用
するのですが、ケース内部にも単3電池3本を内蔵して、どちらでも使用が可能となっています。
右上写真は、1.5V x 3 = 4.5V の電池駆動によって動作をしている例で、今年の流行語 "じぇじぇじぇ" の内の一つ、"じぇ" を表示しているところです。 (写真をクリックすると
拡大します)
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■ 回路図 ■
| 回路図 (BrailleTranslator2.CE3) |
回路の見直し ( 2018/10/29 追記 )
私の他のページ "ドットマトリクス 8 x 8 LED 表示時計" の 回路の見直し でも述べたのと同様に、
私が本機 "点字翻訳機" を作製した頃は、4-16 デコーダーの 74HC154 を入手することは まだまだ容易な頃でした。 ところが 10 年以上も経った現在( 2018/10 )においては、
その入手はかなり難しい状況となっています。
そこで、本機のように 74HC154 を使用している場合に、その再現を可能にするための対応策を上述の "ドットマトリクス 8 x 8 LED 表示時計" で示しているので参考にしてください。
そちらの対応策の回路図を本機に当てはめる場合には、2個の 74HC138 の G2A ピンは共に GND に接続すればOKです。
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■ 完成したプリント基板の様子 ■
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LED表示・PIC制御基板 |
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キーボード基板 |
■ ケース外観と内部の様子 ■
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ケース正面の斜め上から見たところ |
ケース背面の斜め上から見たところ |
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ケース左側面の斜め上から見たところ |
ケース右側面の斜め上から見たところ |
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蓋をあけてケース内部を見たところ |
電源(POWER)スイッチの取り付け |
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蓋をあけて内部をケース真上から見たところ |
蓋をあけて右側面の斜め上から見たところ |
ケース裏面を真上から見たところ |
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■ 点字の初歩 ■
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通常用いられる点字は、下図のように横2 x 縦3 の6つの点で表され、それぞれの点を1の点〜6の点と呼び、1の点〜6の点を合わせてマスと呼びます。
たとえば、母音の "あいうえお" を点字で表すと、次のようになります。 点のある場所を●、ない場所を○で表しています。
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あ |
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い |
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う |
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え |
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お |
●○ ○○ ○○ |
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●○ ●○ ○○ |
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●● ○○ ○○ |
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●● ●○ ○○ |
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○● ●○ ○○ |
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子音の "かきくけこ" を点字で表すと、次のようになります。 母音に、6の点を加えて「か行」を表しています。
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か |
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き |
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く |
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け |
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こ |
●○ ○○ ○● |
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●○ ●○ ○● |
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●● ○○ ○● |
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●● ●○ ○● |
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○● ●○ ○● |
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濁音の "がぎぐげご" を表すには、次のようにそれぞれを、2つのマスで表しています。 1つ目のマスを濁音符といい、濁音符 + 「か行」で表します。
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が |
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ぎ |
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ぐ |
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げ |
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ご |
○○ ●○ ○● ○○ ○○ ○● |
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○○ ●○ ○● ●○ ○○ ○● |
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○○ ●● ○● ○○ ○○ ○● |
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○○ ●● ○● ●○ ○○ ○● |
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○○ ○● ○● ●○ ○○ ○● |
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また、拗音の "きゃきゅきょ" を点字で表すと、次のようになります。 1つ目のマスの拗音符 + ローマ字表記 kya kyu kyo の「y」を除いた清音で表します。
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きゃ |
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きゅ |
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きょ |
○● ●○ ○○ ○○ ○○ ○● |
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○● ●● ○○ ○○ ○○ ○● |
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○● ○● ○○ ●○ ○○ ○● |
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このように、母音、子音等では1つのマスで表し、濁音、半濁音(ぱぴぷぺぽ)、拗音、濁音+拗音(ぎゃぎゅぎょ)、半濁音+拗音(ぴゃぴゅぴょ)等では、
2つのマスで表しています。 (詳細は下記 参考サイト の "とほほの点字入門"、"ウィキペディア - 点字" 等を参照してください。)
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■ 表示の様子 ■
下の写真では写し方が悪いのか、色が滲んだようでボケて鮮明度にかけていますが、実際にはもっとくっきりと見えます。
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■ 各キースイッチの機能と操作法 ■
自動 (AUTO) モード中には、 ←左 (LEFT)、→右 (RIGHT)、取消 (CANCEL) スイッチの入力のみを受け付け、その他のスイッチの入力は受け付けない。
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- 左 1〜6 スイッチ
点字から読みに変換するときに使用し、1桁目の点字の6個の各点に対応している。
1度押すとONになり対応する点字LED(緑)が点灯する。もう1度押すとOFFになり
対応する点字LEDは消灯する。
以降それを繰り返すトグル動作を行う。
なお、1桁だけで構成されている点字については、この左1〜6スイッチで指定しても次の右1〜6スイッチで指定しても、どちらでも構わない。
- 右 1〜6 スイッチ
点字から読みに変換するときに使用し、2桁目の点字の6個の各点に対応している。
各スイッチの動作は左1〜6スイッチと同様であり、トグル動作を行う。
- 入力 (ENTER) スイッチ
左および右1〜6スイッチで指定した、点字のマス(6個の点)が正しいかどうかをチェックする。
正しい場合には、読みがドットマトリクスLED(赤)に表示される。
また指定が誤っている場合には、キーボードのLED(橙)が細かく10回点滅を繰り返しエラー表示をする。
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- ←左 (LEFT) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
(あいうえお順で)1つ前の文字に更新される。
また自動(AUTO)モードの場合には、現在表示速度の2倍に更新される。
- →右 (RIGHT) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
(あいうえお順で)1つ後の文字に更新される。
また自動(AUTO)モードの場合には、現在表示速度の1/2倍に更新される。
- ↑上 (UPPER) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
(あいうえお順で)5つ前の文字に更新される。
- ↓下 (LOWER) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
(あいうえお順で)5つ後の文字に更新される。
- 自動 (AUTO) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
約1秒おきに自動的に(あいうえお順で)1つずつ次の文字に更新表示されていく。
なお、約1秒というのは初期値であり、自動(AUTO)モード中に、←左(LEFT)、→右(RIG
HT) スイッチを操作した場合には、表示速度はそのときの設定値 (1/2, 1, 2, 4) となる。
- 取消 (CANCEL) スイッチ
現在表示されている点字LED(緑)、および読みドットマトリクスLED(赤)が、
クリアされ各LEDは消灯する。
また自動(AUTO)モードの場合には、自動(AUTO)モードは解除されるが、各LEDは表示され続ける。
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■ テーブルデータの構造 ■
この点字翻訳機のプログラム内で使用するテーブルには、下図のように、大別して 点字データテーブル、
文字フォントデータテーブル、そして両者を結びつけるための 点字データ‐文字フォントデータ対応テーブル
の3つが存在します。
● 点字データテーブル
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上記 のような点字のマスをデータ化し、"あいうえお" 順に並べたもので、大きく3つのグループに分けて管理をしています。
また次のリスト中で、コメント( ; '--123456' )内の番号は点の番号で、データ化した時のビット位置の関係を示しています。
グループ1(brail_table_1)のテーブルでは、母音、子音等の1つのマスだけで構成されている点字データを集めたものです。
次に、グループ2(brail_table_2)のテーブルでは、濁音、半濁音、数字、外来発音等の2つのマスで構成されている点字データを集めたものです。
そして、グループ3(brail_table_3)のテーブルでは、拗音、拗濁音、拗半濁音の2つのマスで構成されている点字データを集めたものです。
これらのテーブルでは、プログラムを簡単にするためにも、また分かりやすくするためにも、"あ" の次には "い" を、"い" の次には "う" を、"う" の次には "え" を、・・・・・
というように、必ず昇順に並べるべきです。
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● 文字フォントデータテーブル
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点字の "読み" を文字化して、2桁の 8 x 8 ドットマトリクス LED に表示するための、フォントパターンデータをテーブル化したものです。
フォントパターンデータには、恵梨沙フォント を使用させていただきました。
テーブル間の並びは、基本的にはどんな並びでも構わないのですが、やはりプログラムを分かりやすくするために昇順( font_a の次に font_i ・・・ )に並べてあります。
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● 点字データ‐文字フォントデータ対応テーブル
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先の 点字データテーブル と 文字フォントデータテーブル の両者を、この点字データ‐文字フォントデータ対応テーブルで
結びつけています。 上記の テーブルデータの構造 図のように、点字データテーブルの個々の点字データの "読み" に対する
文字フォントデータテーブルの先頭アドレスをテーブルデータとし、そのテーブルデータの並びは、点字データテーブルの並び順とまったく同一にする必要があります。
点字データテーブル brail_table_1 に対応する点字データ‐文字フォントデータ対応テーブルが brail_font_tbl_1 であり、brail_table_3 に対応するのが、brail_font_tbl_3
ですが、brail_table_2 では、点字データテーブルは同一グループですが、外来発音の "読み" が2文字になるため、外来発音以外の1文字のグループと分けて、
点字データ‐文字フォントデータ対応テーブルは、1文字用 brail_font_tbl_2 と、2文字用 brail_font_tbl_2x とに分けてあります。
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■ プログラム ■
■ プリント基板(1)パターン図 (部品面) ■
| プリント基板(1)パターン図 (部品面) (BrailleTranslator1PC.CE3)
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■ プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) ■
| プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) (BrailleTranslator1PC1.CE3)
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■ プリント基板(2)パターン図 (部品面) ■
| プリント基板(2)パターン図 (部品面) (BrailleTranslator2PC.CE3)
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■ プリント基板(2)パターン図 (ハンダ面) ■
| プリント基板(2)パターン図 (ハンダ面) (BrailleTranslator2PC1.CE3)
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■ ケース加工図 ■
使用したケースは、100均で購入した "はがきケース (L-8821) サナダ精工株式会社" ポリプロピレンケースです。
| ケース加工図 (BrailleTranslatorCS.CE3) |
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左側面を見たところ |
上面から見たところ |
裏面から見たところ |
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■ 使用部品表 ■
(主要部品: IC, トランジスタ等) |
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(データシート) |
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PICマイコン |
.................... |
PIC16F877A |
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HC-MOS IC (4-16 デコーダー) |
.................... |
TC74HC154AP |
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トランジスタ |
.................... |
2SA1015 |
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8 x 8 ドットマトリクス LED |
.................... |
BU5004-R |
| 部品表
| Excel ファイル (BrailleTranslator_parts.xls)
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■ 参考サイト ■
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初版:2006年12月13日、初公開:2013年7月28日、最終更新:2023年11月4日