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102. ミリボルトメーター

[ 初公開日:2015年6月14日 ]

 サイト "目次(ページ名がない?)" で紹介されていた、 "ミリボルトメーター" です。

 手軽に交流の低電圧を測定するもの(オシロスコープ以外に)が、現在持ち合わせてなかったので、私も製作してみようと思い立ちました。

 この "ミリボルトメーター" 、実は、製作の計画をしたのは 2007 年 6 月頃で、プリント基板パターン図やケース加工図も既にできており、 部品の収集もすべて済んでいたのですが、どういうわけか(?)未製作のまま作品にはならず、ずっとそのままに放置してありました。

 最近になって、部品の整理をしていてそのことを発見した次第で、遅まきながら今回製作をしてみました。(同様に、他にも製作待ちのものが数点ある)

 また、回路説明等の詳細は、オリジナルサイトの "ミリボルトメーターの製作" で成されていますので、 このページでは、ケース(パネル)の加工手順や、そのときのノウハウ、ヒントなど、初心者にとって参考になると思われる部分を、重点的に説明してみました。 (丁度、ケース加工も一から始めたので、たくさんの写真を撮りました。)

 したがって、この "ミリボルトメーター" のみならず、ケース加工を伴う一般的な電子工作の場合にも、十分参考になるものと思います。

■ 回路図 ■


 ロータリスイッチをオリジナルと比べて 2回路12接点のものに変更し、トグルスイッチ(使用しない)との併用を止めて、使い勝手がいいように改めました。
ただし、10 接点以上の未配線の位置へも、回せば回転してしまうので注意を要する。

| 回路図 (mVoltMeter.CE3) | ページトップ |

■ ケース外観と内部の様子 ■

ケース正面の斜め上から見たところ ケース背面の斜め上から見たところ
ケース左側面の斜め上から見たところ ケース右側面の斜め上から見たところ
パネル裏面を正面の斜め上から見たところ パネル裏面を背面の斜め上から見たところ
パネル裏面を左側面の斜め上から見たところ パネル裏面を右側面の斜め上から見たところ

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■ FETの選別 ■

 本機では、FETの 2SK30A を1個、2SK117 を2個使用します。 そして、それぞれ上記 回路図 中にもあるような、 指定の Idss の FET を使用するようにと、オリジナルの回路図の中で指定がしてあります。

 そこで、私の手持ちの中から、それぞれの FET の Idss を測定してみました。 測定方法は、下図および写真のようにブレッドボード上で行いました。

[ 測定方法 ]

 電流検出用の抵抗 100Ωは、±1%の金属皮膜抵抗を使用。

 その抵抗にかかる電圧 [mV] を、デジタル・テスターで読み取る。

 そして、電流値、すなわち Idss に変換するには、

   Idss = デジタル・テスターの読み/100 [mA]

 で求めることができる。

 2SK30A と 2SK117 では、左図のように、ピン配置が異なるので注意。

Idss 測定風景(左のものは 定電圧安定化電源 ブレッドボード部分を拡大

 次表は上記のような方法で、私の手持ちの FET の Idss を測定してみた結果です。

 2SK117-GR の Idss 範囲は、表のように 2.6 - 6.5 のため、測定をしても Idss = 2.5 のものは見つかりませんでした。 これは 2SK117-Y の範囲ですから当然です。 そこで 2SK117-Y を測定してみたところ、近似のものが1本見つかりました。

 他のものについても、私の手持ち数が少ないながらも1本ずつ見つかりました。
      FET Idss(mA) 範囲 指定 Idss 測定数 指定 Idss 有無 備考
      2SK30A-Y 1.2 - 3.0 2.2 45 2.20
      2SK117-GR 2.6 - 6.5 4.5 69 4.50
      2.5 最も近い Idss = 2.86
      2SK117-Y 1.2 - 3.0 50 2.52

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■ プリント基板(1)パターン図 (部品面) ■

| プリント基板(1)パターン図 (部品面) (mVoltMeterPC.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) ■

| プリント基板(1)パターン図 (ハンダ面) (mVoltMeterPC1.CE3) | ページトップ |

■ プリント基板(2) ■

 プリント基板として取り上げるほどのものではなく、LED を固定する目的だけに使用したもので、今までに基板をカットしたときに出た端材を利用しました。

(部品面) 見る角度を変えると (ハンダ面) 実際に取り付けた様子

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■ コネクタケーブルの作製 ■

 当初、パネルに取り付けた各パーツとプリント基板(1)間の配線で、プリント基板側に取り付けたピンヘッダには、直接線材を巻きつけて ハンダで仕上げるつもりでいました。 この方法は簡単で確実に配線ができるため、私のたくさんの他の作品でも行なっているのですが、欠点は保守性が悪くなることです。

 そこで本機では、コネクタ(ピンソケット)を介して接続することにしました。 しかし、ここで注意があります。 ピンソケットを使用する場合、 電子メトロノームU(参考基板パターン図) でも述べたように、決してピンソケットにはケーブルを直接ハンダ付けしてはいけない ―― ということです。 もしそのようにした場合には、ピンヘッダに差し込んだ時に、ピンソケットの各ピンがバラバラに抜けてしまいます。 これを回避するには次の写真のように、プリント基板の端材を利用した小片を介してハンダ付けをするようにします。

ピンソケットとプリント基板を必要サイズにカット 11P コネクタ 5P コネクタ 2P コネクタ

 上写真で、11P コネクタは プリント基板(1)パターン図 (部品面) のように、本来、3P、3P、2P の3つに分けるべきかもしれませんが、 私の場合、20P のコネクタ(ピンソケット)を必要サイズにカットして使用しているため、その加工の面倒さと強度(分けるよりも1つの塊とした方が、ピンヘッダとの密着度がよくなる) の面から、11P としました。 5P コネクタについても同様に、2P、2P の2つに分けるべきところを 5P としました。


 上写真は、パネルに取り付けた各パーツと各コネクタケーブルとの、配線の様子を示したものです。

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■ パネルレイアウト ■ ■ パネル (印刷用) ■
  

| パネルレイアウト Excelファイル (mVoltMeter.xls) |    ← ( Excel ファイルのダウンロードを可能にしておきますので、参考にしてください。)


 パネル面は、Excel で作図、印刷したフィルムを貼り付け、その上を2mm厚のアクリル板で保護をしています。

 下写真のようなパネル面に如何にして仕上げるかを、以降に詳述していますので参考にしてみてください。

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■ ケース加工図 ■

 使用したケースは、"タカチ" の "YM-130" アルミケースです。 今回はパーツをすべて上蓋だけに取り付けるようにしたので、加工も上蓋のみの穴開けで、 下蓋の加工はありません。 ただし、下図のようにアルミ補助板を2枚使用するので、その穴開け加工も必要です。 また、それに加えてもう一つ、保護用のアクリル板の加工も必要です。

| ケース加工図 (mVoltMeterCS.CE3) | ページトップ |

■ ケース加工の手順とその様子 ■

 人それぞれいろいろな方法でケースの加工をしていると思いますが、ここではあまり高価な工具は使用せずに一般的なアマチュアでもできる、 私が行っている方法をご紹介しましょう。 そのため、多少の面倒さは伴いますがやむを得ません。

ケース表面には、ビニールのフィルムが貼り付けられているが、余計な傷が付くのを防ぐために、
一連の穴開け作業の終了まで、そのままの状態で行うこと。

まず1ミリ方眼の方眼紙(グラフ用紙)を用意し、ケースの加工面と同サイズに切り抜く。

次に、切り抜いた方眼紙上に、穴開けする位置を作図する。
(パソコンで作図した、上記の パネル (印刷用) を普通紙に印刷したもので可)

作図が終わったらケースの加工面に、方眼紙をセロテープで貼り付ける。

穴開けをするポイントを、ポンチ等(千枚通しでも代用可)で正確にケース加工面に写し取る。

方眼紙はもう必要ないので、ケースの加工面から剥がしておく。
上工程でポイントした位置のすべてに、いきなり必要サイズの穴を開けるのではなく、
まず Φ1 程度の小さな穴をドリルで開ける。

そして、Φ1 、Φ1.5 、Φ2 、Φ2.5 、Φ3 、・・・ のように、穴径を徐々に広げていった方が、
穴位置を正確に開けられる。

メーター用の大きな○穴は、直接ケース加工面に、コンパス等で切り抜くための円を書き込み、
その境界線となる円の内側 数 mm 程度の位置に、左写真のような要領で連続に穴を開ける。

左写真では、所定のすべての位置に Φ2 の穴を開けたところ。
穴径をだんだんと大きくしていき、左写真では、Φ3 まで開けたところ。

メーター用の穴は、Φ3 〜 Φ3.5 程度の連続した穴を開けたところでいったん止め、
下工程に進む。
メーター用の大きな穴は、連続している隣り合った穴どうしを、ニッパー等で切りながら繋いで行き、
左写真のような要領で切り抜く。

注意: 当然ながらニッパーの切れ味が悪くなる可能性があるので、ここで使用するものは、
     100 円ショップなどで入手したものを使用すれば、精神的に楽になって良いと思う。
すべての○穴を、所定のサイズに広げて開ける。

ドリルでは難しいようなサイズの○穴は、テーパーリーマで穴径を広げた方が良い場合もある。

上工程で開けたメーター用の穴は、半丸状のやすりで徐々に削って、境界線まで穴を広げる。

ここまで開けてきたすべての○穴の断面には、必ず酷いバリが付いているはずなので、
これも半丸状のやすりで削りとっておく。

小さな○穴の場合には、専用の面取りカッターもあるが、太めのドリルでバリをさらっておく。

一連の穴開け作業が終了したここで、ケース表面保護用のビニールフィルムを剥がす。
最後の写真は穴開け作業がすべて終了し、残りはビニールフィルムを剥がすだけの状態のケース。


アルミ補助板の加工

 ここで、補助版を使用する主な目的を説明しておくと、ロータリスイッチに付いている回転止めを、ケースパネルの表面に出さないようにするためと、 もう一つはプリント基板を保持するためのそのビスの頭を、やはり同様にケースパネルの表面に出さないようにする役目があります。

左の写真は、アルミ板、またはアクリル板をカットするときの、作業風景をイメージしたものである。

ここで必須なのは、スチール製の定規で、プラスチックのものは軟らかいので不可。

写真には定規が2枚写っているが、カットする材料(アルミ板、またはアクリル板)を挟むような形で
作業台(板)にクランプで固定する。 上側の定規を手で押さえても作業は可能であるが、不安定で
切断線がずれ易いので、二か所をクランプで固定した方が、次の線引き作業が楽である。

下側の定規は作業台(板)に傷が付くのを防ぐためのもので、同目的が達成できれば何でも可。

上側の定規に沿ってカッター(普通のカッター、またはアクリルカッター)を何度も滑らして線を引き、
十分に切断する線を彫り込むこと。(アクリル板の場合は、普通のカッターでは不可)

片面が済んだら、必ず反対側の面にも同様に切断線を彫り込み、その後、材料を取り出してから、
切断線に沿って力を加えれば、ポキッと折れる。

 こうして所定のサイズにカットしたアルミ板には、必ずひどいバリができる(アクリル板の場合には、切断面がかなりシャープになる)ので、 いずれの場合にもやすりで切断面を滑らかにしておくことを、安全面からもお勧めします。

 また、定規についてですが、スチール製であっても線引き作業に使用する上側の定規は、何度も使用しているうちに徐々に削れてしまって、必ず直線性が失われてしまいますので、 これは消耗品と割り切って、100 円ショップで買い求めた物を使用すると良いと思います。 そして、直線性が失われたものを下側の定規として、作業台(板)の傷付き防止の目的に 再利用するのがベターかと思います。

 上の写真には写っていないが、実はもう1枚傷付き防止の目的に定規を使用しています。 それは作業台(板)の裏側で、クランプを締め付けた時にできる "締め付け痕" を、 作業台(板)に残さないようにするために使用しています。

アルミ補助板の穴開け加工についても、ケース本体の加工と同手順で穴開けをする。

ここで使用したアルミ板は、手持ちの関係で 1.2 mm 厚のものを使用した。 皿モミ加工があるので、
薄すぎるとその加工が困難になるし、厚すぎるとロータリスイッチ等のナットが締まらなくなる。

皿モミ加工をするには、専用の面取りカッターもあるが、アマチュア的には太めのドリルでも
代用が可能である。(ここでは M 3 の皿ねじ用なので、M 6 のドリルで代用可)

ケース加工図 に示したように、アルミ補助板-1と アルミ補助板-2の上側の皿モミ穴に通した
皿ねじで、プリント基板(1)を支える。

アルミ補助板-2の下側の皿モミ穴については、LED専用の小片プリント基板(2)用のものである。

 ここで少しばかり補足をしておくと、上記のように1.2 mm 厚のアルミ板を使用したため、ロータリスイッチを取り付けたときに、 その回転止めのでっぱり(長さが 2 mm 程ある)が、補助板から飛び出てしまいます。 これではケースパネルに組み込んだときに具合が悪いため、 飛び出した部分の長さだけ( 2 - 1.2 = 0.8 mm )やすりで削って、補助板との面(つら)を合わせておく必要があります。


スペーサーの加工

 プリント基板をアルミ補助板に取り付けるときに、適度な長さのスペーサーを挟んで固定しますが、上記したように今回使用したアルミ板は、手持ちの関係で 1.2 mm 厚のものを使用したため、 結果、板厚が薄いために左下(A)写真(加工未)のように、アルミ板とスペーサーの接触面が浮いてしまって密着しません。

そこで、スペーサー側にも若干の加工が必要となる。

左の(A)(B)各写真とも、加工済と加工未をよく比較して見ること。

右(B)写真(加工済)のように、アルミ板と接触するスペーサーの面の内側にザグリを入れる。

この加工についても、面取りカッター、もしくは M 6 のドリルで代用が可能である。

(A)(B)各写真とも、左側の長いスペーサーは、プリント基板(1)用の 10 mm 長のもの、
右側の短いスペーサーは、LED専用の小片プリント基板(2)用 4 mm 長のベークのものを使用。
各皿ねじの取り付けの様子。

各皿ねじの頭面と、アルミ板の面が、面一(つらいち)になるようにする。


[ 工具の紹介 ]

 ここで上記の "ケース加工の手順" 説明文中に登場した、私の愛用の工具たちをご紹介します。 これらは私が所有する工具の内のごく一部であり、またごく一般的なもので、 中でも千枚通し、やすり等、いくつかのものは、100 円ショップで購入したものです。

 余談ですが、リーマの写真で左側の細いものは、回転させるための柄の部分が現在行方不明中のため、ハトメラグを取り付けるときに使用する、大昔に購入した "菊型たがね" を使用しています。(写真の撮影後、最近になって数年間行方不明中だった柄が、ひょっこりと帰ってきました)

ポンチ 千枚通し ドリル ニッパー テーパーリーマ やすり 面取りカッター
カッターナイフ アクリルカッター G型クランプ スチール定規

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■ パネル面の化粧方法とその様子 ■

 上記のように、ケースパネル等の穴開け加工の方法を、いろいろと述べてきましたが、最後に、パネル面をいかに美しく仕上げるかをご紹介しましょう。

パネル面の主な構成は、左から順に、

・パネル表面の保護用の、2 mm 厚の透明アクリル板、
・文字入れを Excel で作図、印刷したフィルム、
上記 のように、穴開け加工の済んだケースパネル。

透明アクリル板の加工についても、ケース加工の手順 と同様に行なう。
(注意: LED位置の穴は、このアクリル板には開けないように)

アクリル板の加工後は、静電気によって削り粉がいつまでもまといつくので、
中性洗剤等で洗った後に十分な水洗いをすると良い。
ここで、メーカー出荷時にケース表面に貼り付けられている、透明なビニールの
フィルムを剥がしておくこと。

左写真は、文字入れをしたフィルムを、ケースパネル表面に貼り付けたところ。

貼り付けるとき、パネル表面とフィルムの間に、気泡が入り易いので注意。
フィルムを貼り付けた後、ケースの○穴位置を、カッターナイフの先でくり抜く。

LED 用○穴以外はすべて次写真のように隠れてしまうが、特に LED 用○穴は
パネル表面から見えてしまうので、穴開けは慎重に行うこと。
透明アクリル板をパネル表面に被せた後、各パーツ類を仮に取り付けてみたところ。

ロータリスイッチのシャフト(軸)が少々長いため、この後、5 mm 程切断した。

また、説明が少々遅くなってしまったが、アクリル板の加工時、ドリルでの穴あけは
3 〜 3.5 mm 程度までで、それ以上になるとひびや割れが生じやすくなるので、
できればテーパーリーマで穴径を広げた方が良い。
各パーツ類を仮に取り付けてみた直後の、パネル裏面の様子。

アルミ補助板の様子、および皿ねじ、スペーサー等の様子が具体的に分かると思う。

 以上、「ケース加工の手順」「パネル面の化粧方法」など、皆さんの参考になりましたでしょうか? アマチュアの工作と言えども、見映えは重要だと思います。 特にパネル面の加工においては、余計なビスなどの頭は出さないこと。 文字入れもパソコンを使用すれば、文字種やサイズも豊富に選択できますので、美しいパネルに仕上げてください。

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■ 使用部品表 ■

(主要部品: IC, トランジスタ等)

(データシート)
FET トランジスタ .................... 2SK30ATM
FET トランジスタ .................... 2SK117

| 部品表 | Excel ファイル (mVoltMeter_parts.xls) | ページトップ |

■ 参考サイト ■

ミリボルトメーターの製作 .......... http://hiyama.konjiki.jp/sokutei01.html
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene .......... http://efu.jp.net/soft/wg/wg.html

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初版:2007年6月27日、初公開:2015年6月14日、最終更新:2023年11月2日